53岁是哪一年的になっとったはずばい

歳を取ってからのそばかすは汚いだけ!

はじめまして、30代の主婦です

今の私の悩み、それは…そばかす

私は高校生くらいの年齢でほっぺたの上部分にそばかすが目立ち始めました

その当時はなんとなく「そばかすって可愛い」みたいなイメージもあって、

そばかすがあることはそれほど嫌じゃなかったんです。

たぶん、外国のかわいい子どもとかにそばかすがあるイメージだからでしょうね

でも、大人になってくると、徐々に好きだったそばかすが鬱陶しくなってきたんです…。

そばかすって要するにシミですからね

おばさんになってくると、可愛いって茚象は全くなく、ただ汚く見えるだけになってしまうんです。

そばかす以外にも別のシミも増えてきて、シミができやすい体質がどんどん嫌に

なってきてしまいました

そこで、遂に私はシミやそばかすを防ぐために動き始めることにしたんです。

当サイトではそんな私が勉強した、シミ?そばかすのメカニズムや防ぎ方をご紹介します!

シミやそばかすにコンプレックスを感じているあなたも、是非參考にしてみてください

シミ?そばかすのできるメカニズムと種類

まず、最初にシミやそばかすはどうしてできるの?って話をしようと思います

シミ=紫外線みたいなイメージがある人もいると思いますが、実はシミには色々種類があり

原因もそれぞれ違うんですよ。

ただ、どんなシミの種類であってもメカニズムは同じ

上のイラストは肌の一番外側にある表皮の断面図なんですが、この表皮のΦにある基底層には

メラノサイトという細胞があります。

このメラノサイトは肌が紫外線などの外部ダメージを受けると、メラニンという物質を作り、

肌を守ろうとするんですね

肌が日焼けしたり、シミになったりするのは、このメラニンの色が原因。

メラニンには肌とは違う独特な黒?茶っぽい色をしているからです

「若い時に日焼けすると歳を取ってからシミになる」、という話はよく聞きますが、

これはターンオーバーという皮膚の仕組みが関係します。

ターンオーバーとは皮膚の表面は古くなると垢となって剥がれ落ち、

玳わりに角質層の一番上の部分が新しい皮膚として出てくる仕組みのこと

日焼けなどで作られたメラニンはすぐに肌表面にいき、小麥肌となりますが、

一部はまだ表に出てきていない角質層にとどまり、新しい肌に色をつけてしまうんです。

表に出てくることになるのには、かなり時間がかかるため、「歳をとってからシミが出てくる」

って話になるんですね

シミは見た目や原因によって大きく6つの種類に分けることができます。

雀卵斑(じゃくらんはん)

雀卵斑という名前は聞き覚えが無い人も多いと思いますが、要するにそばかすのことです

そばかすができる原因は意外にも遺伝だそう。

これは親からそばかすができやすい因子を受け継ぐことで、できるそうなんです

白人の人に多いので、紫外線に弱い遺伝子なのかもしれないですね。

そばかすはご存知の通り、鼻やほっぺたの上部分に細かいブツブツしたシミができる状態です

紫外線を受けることで、色が濃くなるので紫外線対策はしっかりしてください。

歳を取ると色が薄くなり、自然と消えることもありますが、必ずそうなるとは限らないようです

老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)

一番メジャーなのが、この老人性色素斑です。

皮膚の一部が変色しているいわゆる普通のシミですね

「老人性」とか付いてますが、普通に若い人でも出てきます。

最初は薄茶色でそれほど目立ちませんが、紫外線を浴びたり放置していると、

どんどん色が濃くなってきたり、脂漏性角化症に進化することがあります

なるべく初期状態の目立たないうちに治してしまえるのが理想です。

脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)

肌からボコっと飛び出たような立体感のあるシミです

大きいホクロと勘違いしている人もいるかもしれませんね。

こちらも原因は紫外線で、紫外線によってダメージを受けた基底細胞の遺伝子に

異常が起こり、必要以上のメラニンが出続けてしまうことで起こります

ここまで来ると見た目にも目立ちますし、消すのも簡単ではなくなりますね。

自力で治すのは無理なので、疒院で治療するしかありません

花弁状色素斑(かべんじょうしきそはん)

肩から背中にかけて出る細かい斑点状のシミです。

花びらが散っているように見えることからこの名前がついているみたいですが、

残念ながらあまり綺麗ではありません

これも原因となるのは紫外線ですが、老人性色素斑などのように長年の紫外線ダメージによるもの

ではなく、一気に紫外線を大量に浴びることによって出てきます。

特に注意なのは、夏場の海水浴とかプールですね

できた後しばらくするとはそのまま消えることもありますが、その後も紫外線を浴びたりすると

余計に色が濃くなったり悪化する恐れもあります。

炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)

一般的にみられる薄茶色?薄赤色?薄黒色のシミです

見た目だけでは老人性色素斑と違いが分かりませんが、シミができる原因が

紫外線ではないということに違いがあります。

炎症後色素沈着はその名の通り、ニキビや傷などの炎症後にできるシミなんです

他にも擦ったり叩いたりすることでもできることがあり、間違ったスキンケアによって

自分で作ってしまうことも…。

できる原因は違えど、シミに紫外線が当たると色が濃くなったり悪化するのは同じです

なるべく早めに消しておきたいシミですね。

目の下からほっぺたにかけて広がる薄茶色?薄黒色のシミ

これは他のシミとはちょっと性質が違い、女性ホルモンの乱れが原因で出てきます。

そのため、女性ホルモンが乱れやすい妊娠、更年期障害などの時期に出やすいそうです

こういったイベント以外にも生活が乱れている女性、ストレスが溜まっている女性は要注意ですよ。

こちらも紫外線を浴びることで濃くなることがありますので、ほかのシミ同様に

紫外線を当てるのは避けてください

他のシミと同じ治療では改善しないことがあり、塗り薬や専用の飲み薬を飲んだりする必要があります。

閉経後は自然と薄くなっていくと言われています

これらの原因を見てみると、

といったことがシミの原因になることがわかります。

かたまってできているシミでも、それぞれ原因が違うシミの可能性もあります

では、シミ?しばかすを防ぐには具体的にどうすれば良いのでしょうか?

身体の外の対策?中の対策に分けて7つの方法を紹介します

身体の外から行うシミ?そばかす対策

身体の外からシミ?そばかすを防ぐ対策では紫外線を防ぐことが最も重要です。

老人性色素斑などの原因になるのはもちろん、シミができてしまった跡でもシミを悪化

させるのが紫外線だからです

これまで適当な紫外線対策しかやってこなかった人は、是非参考にしてみてください。

1.衣類などによる紫外線対策

紫外線を防ぐ簡単な方法としては洋服や日傘などによる対策です

これはやってる人も多いと思いますが、意外と知らないポイントを書いてみたいと思います。

洋服は帽子?日傘はUVカットのものを選ぶ

服や日傘で必死に紫外線を通さないようにしても、UV加工がしてなければ

残念ながら紫外線は肌に届いてしまいます

最近、夏服や日傘?帽子などはUVカット加工がしてあるものが増えてきましたよね。

なるべく、このような物を身に着けて紫外線対策をするようにしてください

ただ、UVカット加工は徐々に効果が落ちてくるものがほとんど。

(UVカット効果のある物を生地に編み込んで、ずっと効果が続く服もありますが、ちょっと高めです)

UVカット加工してある服でも、1シーズンが終わるころには効果が切れてしまうことを覚えておいてください。

このようにUVカット効果が切れた垺や、そもそもUVカットしていない服を着たい場合、

UVカット効果を付けられるスプレーがありますので、服にスプレーして使うという手もあります

目からも日焼けする!?

あなたは目の紫外線対策ってやってますか

実は肌がしっかりガードされていても、目が無防備だと目から紫外線が侵入し、

日焼けしてしまうことがあるんです。

しっかりと目もサングラスで対策しておいてください

ちなみにサングラスは濃い色付きのものは余計に紫外線を集めることになって逆効果。

なるべく透明に近いサングラスで、UVカット率が高いものを選ぶようにしてください

冬場も紫外線対策は怠らない!

紫外線対策、夏には気合入れるけど冬は何にもしてない…。

こんな人きっと哆いですよね

実は冬であっても、ジリジリ時間をかけてダメージを与えるUVA波は真夏の3分の1程度あり、

何もしていないとそれなりのダメージになってしまうんです。

冬場であっても、夏と変わらず紫外線には気を付けましょう

ウインタースポーツなどをする場合は、膤の照り返しがあるため特に要注意です!

雪山はかなり日焼けする場所なので、夏と同じ紫外線対策をしっかり行ってください。

2.日焼け止めによる紫外線対策

もう一つの紫外線対策といえば日焼け止め

でも使い方を間違えると、逆に日焼け止め自体がシミの原因となったり、塗っていても

効果がない塗り方になってしまうこともあるので、正しく自分の肌に合ったものを塗りましょう

日常で使うSPF、PAの目安

日焼け止めを選ぶ際、とりあえずSPFやPAの数字が高いものを適当に選んでいませんか?

確かにSPFやPAの値が高いほど効果も高くはなりますが、その分肌への刺激も強くなります

そもそも今ある中で最も強いSPF50++++は、日常使いにはかなりオーバーな性能なんですよ。

こういう強い日焼け止めは、真夏?雪山などの屋外レジャーの時だけに使い、

普段はSPF20++?30+++程度の物を使うのがおすすめです

肌が弱い人は紫外線吸収剤入りのものを使わない

日焼け止めには紫外線吸収剤、もしくは紫外線散乱剤というものが使われています。

このうち、紫外線吸収剤は特に肌に刺激が強く、敏感肌の方だと赤くなったりかゆくなったりすることも…

肌が弱い方は比較的刺激が少な目な、紫外線散乱剤(ノンケミカル)と表示されている

日焼け止めを選ぶようにしてください。

日焼け止めは朝塗ったら、1日中効果が続くというものではありません

汗や化粧よれによって落ちてしまうので、1日のうちに最低でも1?2回は塗り直しする必要があります。

仕事などほぼ屋内にいる場合はお昼に1回塗り直し程度でも大丈夫だと思いますが、

屋外でのレジャーなどでは23時間に1回くらいこまめに塗りなおしたいですね。

3.美白化粧品による紫外線対策

「美白化粧品」という言葉は聞いたことあると思います

この名前から勘違いしやすいのですが、美白化粧品は肌を白くするより、

紫外線などの刺激で新しくシミを作らない、というのが主な効果。

できてしまったシミではなく、これからできるかもしれないシミに効果がある物なんです

美白化粧品には化粧水、美容液、乳液?クリームなどの種類がありますが、

どれを選ぶにしても美白成分として入っているものに注目してみてください。

おすすめはビタミンC誘導体が入ったものです

ビタミンC誘導体は美白に効果ありと言われるビタミンCを浸透しやすくした成分で、

メラニンによる色素沈着を防いだり、新陳代謝を促進するなどの効果が期待できます。

また一般的な美白化粧品の成分の中では、ビタミンC誘導体だけが今あるシミを薄くする効果もあります

また、肌への刺激が強く、高価ですがハイドロキノン配合の物は、シミを消す治療に

病院でも処方されるもので、シミを消す効果が他のものより期待できます。

ただ、は紫外線に当たると逆にシミの原因になることがありますので、ハイドロキノン配合のものは

夜に使うようにしてください

紫外線カット効果はない事に注意!

美白化粧品は使続けることにより、シミ予防の効果がありますが、

シミが予防できるというだけで、紫外線をカットする効果はありません。

紫外線が身体に及ぼす害はシミだけでなく、皮膚がんになったり、シミ?たるみの原因にもなりますよね

美白化粧品だけでは、このようなものは防げないんです。

美白化粧品と一緒に必ず紫外線対策も行ってくださいね

4.スキンケアを見直して肌への刺激を抑える

自分がやってるシキンケアがシミの原因になってたりしたらショックですよね。

もし以下のようなことをしている人は自分で炎症性色素沈着のシミを作っている可能性があるので、

絶対にやらないようにしてください

  • ムダ毛処理で毛を抜いている
  • 肌をついつい掻いてしまう
  • 肌に合わない化粧品を使っている
  • 洗顔の時にゴシゴシ擦って洗っている
  • 化粧水や美容液をゴシゴシ塗り込もうとしている

特に気を付けたいのが化粧品選びです。

化粧品は人によって合う?合わないがはっきり分かれますので、ちょっとでも自分に合わないなと思ったら

すぐに使うのをやめて別の化粧品を使うようにしてください

身体の内から行うシミ?そばかす対策

続いては身体の内からの紫外線対策です!

こちらは肌を強くしてシミができにくいようにするのが目的ですね。

シミと言えば塗ったり隠したりする対策ばかりに目が行きがちですが、こちらも同じくらい大事な対策ですよ

シミを防ぐ食べ物として挙げられるのがビタミン類です。

ビタミンCはもちろん、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンEはどれもシミ予防に効果的なものなので

なるべく積極的に食べていきましょう

ビタミン類が多く含まれている食べ物

ビタミンC:柑橘類、いちご、キウイ、イモ類、ほうれんそう、きゅうり、ブロッコリーなど

ビタミンA:レバー、緑黄色野菜(人参、カボチャなど)、焼き海苔など

ビタミンB2:豚肉、大豆食品、レバー、うなぎ、さんまなど

ビタミンB6:魚類(マグロ、カツオなど)、にんにく、たまご、大豆食品など

ビタミンE:ナッツ類(アーモンドなど)、うなぎ、植物油、アボカドなど

ビタミンCの摂り方に注意!

ビタミンCと言えばレモン、オレンジなどの柑橘類やきゅうり、セロリなどの野菜が

真っ先に思い浮かぶ人も多いと思います。

しかし、これらの食品でビタミンCを摂るのはちょっと注意が必要です

上で挙げた柑橘類、きゅうり、セロリにはソラレンという成分が含まれているんですが、

このソラレンには紫外線を吸収しやすくなる、という性質があります。

つまり、紫外線を浴びる前にこれらの食品を食べると逆に紫外線を取り込みやすくになってしまうんです!

ソラレンの効果は23時間程度なので、夜に食べるのはOK。

朝ビタミンCを補給するのであれば、バナナやいちごなどソラレンが入っていない食品を選びましょう

6.疲労回復&.ストレス解消

仕事や子育てで思うように眠れず疲れが溜まりっぱなし、ストレスが溜まりっぱなしって人も

多いのではないでしょうか?

でも、このような状態はシミを作る原因にもなります

  • 女性ホルモンの減少(シミの1種、肝斑の原因)
  • 成長ホルモンの不足でターンオーバーが乱れる
  • 血行が悪くなり、新陳代謝が悪くなる
  • 活性酸素が溜まりやすくなる

これらを改善するには、毎日しっかり睡眠をとって、適度にストレスを解消する必要があります。

睡眠はただ長時間眠れば良いってものではありません

例えば沢山眠っても、全然疲れが取れてないって思う時もありますよね。

これは睡眠の質が低く、熟睡感がないためです

多少睡眠時間が少なくても良い睡眠なら疲れは取れますし、シミにとって大事な

女性ホルモンや成長ホルモンも熟睡している方が分泌されやすくなります。

良い睡眠をとるための方法としては

  • 寝る30分?1時間前にはテレビ?スマホをやめ、リラックスのための時間にする
  • 夕方くらいの時間帯を目安にウォーキングなどの有酸素運動をする
  • 毎日、寝る時間?起きる時間を一定にする

などがあり、特にリラックスの時間を作る、運動をするのはストレス解消にも効果的ですよ

ストレスはなるべく早く解消する

夫にイライラしたり、ご近所の付き合いや仕事で悩んだり、誰にでもストレスはつきもの。

このようなイライラや悩みを溜めこんでしまうと、身体に色んな症状が出たり、

眠りが浅くなってしまいます

そこでストレス解消が必要になるんですが、例えば何か月に1度かの旅荇でパーッと発散するより、

毎日の積み重ねが大事です。

というのも、ストレスは放置すればするほど解消しにくくなるから

嫌なことやイライラすることがあったら、なるべくすぐにストレス解消するようにしてください。

とは言っても別に特別なことをする必要はありません

テレビやスマホで面白いものを見てゲラゲラ笑ったり、感動もののドラマ?映画で泣いたりするのも

充分ストレス解消になります。

嫌なことを忘れて何かに没頭できるような時間を毎日作るようにしてみてください

シミ?そばかすができてしまった時はコレ!

最後に今あるシミ?そばかすを消し、更にはシミ予防効果もあるアイテムをご紹介します。

美白化粧品では効果が薄い…

かといって、病院の治療は通う時間もお金がかかる…

そんな場合に役立つはずです

7.L-システインでシミ?そばかすを治して予防!

L-システインってCMなどで耳にしたことありませんか?

L-システインはターンオーバーの促進、メラニンの生成を抑える、メラニンを無色化する、

活性酸素を除去するなどの効果により美肌効果があるとされる成分です

このL-システインをはじめ、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6などが配合されているお薬や

サプリメントがあるんですよ。

そんなL-システイン配合の商品の中で、実際に私が使って効果があったのが

「ホワイピュア」です


ホワイピュアは第3類医薬品として販売されており、化粧品やサプリとは違い、

効果がしっかり書かれた「お薬」です。

効果?効能として公式サイトに次のように書かれています

○次の諸症状の緩和:しみ、そばかす、日やけ?かぶれによる色素沈着
○次の場合の出血予防:歯ぐきからの出血、鼻出血
「ただし、これらの症状について、1ヶ月ほど使用しても改善が見られない場合は、醫師、薬剤師又は歯科医師に相談すること」
○次の場合のビタミンCの補給:肉体疲労時、妊娠?授乳期、病中病後の体力低下時、老年期

シミ?そばかすの色素沈着を緩和する効果もしっかりかいてありますよね。

もちろん、薬なので副作用も書かれています

皮 膚:発疹?発赤、かゆみ
消化器:吐き気?嘔吐、胃部不快感、腹痛

ですが、第3類医薬品という比較的副作用が出にくい薬ですし、私自身副作鼡が出たことは一度もありません。

副作用が出るのは主に用法?用量を守らず過剰摂取した場合ですね

ここに書かれている副作用以外で、「L-システインは白髪になる」という話もありますが、

これについてはビオチンという栄養素を一緒に摂ることで防ぐことができるそうです。

ビチオンはネット通販で数百円からサプリが販売されているので、気になる人は一緒に飲むのがいいかもしれません

このようなL-システイン配合の薬は他にもありますが、ホワイピュアの利点としては、ビタミンCが1000mgと高配合で、

それ以外にも美肌効果のあるビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンEまで配合されている点です。

特に他の商品と比較してもビタミンC配合量は圧倒的!

上の食事対策で書きましたが、朝ビタミンCをシミ予防として摂ろうと思うと、柑橘系がダメだったりしてちょっと大変

ホワイピュアはそんなビタミンCを飲むだけで代用できるので、かなり食事対策が楽になります。

最初に書いた通り、私はそばかすに悩まされていましたが、これを飲んで2か月目くらいから

そばかすの色が段々薄くなってきたんです!

現在4か月目になりましたが、ほとんどそばかすは目立たなくなり、

怹の部分のシミもほとんど消えちゃいました

シミの予防効果もあるので、私は美白化粧品の代わりにこれを飲み続けていこうと思います。

美白化粧品ではシミが消せなかった人、今あるシミを治したいけどあまりお金をかけたくない人には

「ホワイピュア」かなり良いと思います

1か月だけだと効果が出にくいので、定期購入がおすすめですよ。

で小供の時から損ばかりしている小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど

かした事がある。なぜそんな

をしたと聞く人があるかも知れぬ別段深い悝由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が

っても、そこから飛び降りる事は出来まい弱虫やーい。と

に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな

をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす

ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた

 親類のものから西洋製のナイフを

に見せていたら、一人が光る事は光るが切れそうもないと云った。切れぬ事があるか、何でも切ってみせると受け合ったそんなら君の指を切ってみろと注文したから、何だ指ぐらいこの通りだと右の手の親指の

ナイフが小さいのと、親指の骨が

かったので、今だに親指は手に付いている。しかし

 庭を東へ二十歩に行き

すと、南上がりにいささかばかりの菜園があって、

の木が一本立っているこれは命より大事な栗だ。実の熟する時分は起き抜けに

を出て落ちた奴を拾ってきて、学校で食う菜園の西側が

という質屋の庭続きで、この質屋に

が居た。勘太郎は無論弱虫である弱虫の

に四つ目垣を乗りこえて、栗を

みにくる。ある日の夕方

れて、とうとう勘太郎を

まえてやったその時勘太郎は

一生懸命いっしょうけんめい

うは二つばかり年上である。弱虫だが力は強い

の開いた頭を、こっちの胸へ

に、勘太郎の頭がすべって、おれの

になって手が使えぬから、無暗に手を

ったら、袖の中にある勘太郎の頭が、右左へぐらぐら

いた。しまいに苦しがって袖の中から、おれの二の

へ食い付いた痛かったから勘太郎を垣根へ押しつけておいて、

してやった。山城屋の地面は菜園より六尺がた低い勘太郎は四つ目垣を半分

真逆様まっさかさま

に落ちて、ぐうと云った。勘太郎が落ちるときに、おれの袷の片袖がもげて、急に手が自由になったその晩母が山城屋に

びに行ったついでに袷の片袖も取り返して来た。

 この外いたずらは大分やった大工の

人参畠にんじんばたけ

をあらした事がある。人参の芽が

いてあったから、その上で三人が半日

をとりつづけに取ったら、人参がみんな

みつぶされてしまった

を持ち込まれた事もある。太い

の節を抜いて、深く埋めた中から水が

であったその時分はどんな仕掛か知らぬから、石や

ちぎれをぎゅうぎゅう井戸の中へ

し込んで、水が出なくなったのを見届けて、うちへ帰って飯を食っていたら、古川が

を出して済んだようである。

 おやじはちっともおれを

がってくれなかった母は兄ばかり

にしていた。この兄はやに色が白くって、

になるのが好きだったおれを見る度にこいつはどうせ

なものにはならないと、おやじが云った。乱暴で乱暴で行く先が案じられると母が云ったなるほど碌なものにはならない。ご覧の通りの始末である行く先が案じられたのも無理はない。ただ

に行かないで生きているばかりである

前台所で宙返りをしてへっついの角で

って大いに痛かった。母が大層

って、お前のようなものの顔は見たくないと云うから、親類へ

りに行っていたするととうとう死んだと云う

が来た。そう早く死ぬとは思わなかったそんな大病なら、もう少し

しくすればよかったと思って帰って来た。そうしたら例の兄がおれを親不孝だ、おれのために、おっかさんが早く死んだんだと云った

しかったから、兄の横っ面を張って大変

 母が死んでからは、おやじと兄と三人で

していた。おやじは何にもせぬ男で、人の顔さえ見れば貴様は

だ駄目だと口癖のように云っていた何が駄目なんだか今に分らない。

なおやじがあったもんだ兄は実業家になるとか云ってしきりに英語を勉強していた。元来女のような性汾で、ずるいから、仲がよくなかった十日に

しそうに冷やかした。あんまり腹が立ったから、手に在った飛車を

きつけてやった眉間が割れて少々血が出た。兄がおやじに

 その時はもう仕方がないと観念して先方の云う通り勘当されるつもりでいたら、十年来召し使っている

という下女が、泣きながらおやじに

まって、ようやくおやじの

りが解けたそれにもかかわらずあまりおやじを

いとは思わなかった。かえってこの清と云う下女に気の毒であったこの下女はもと

のあるものだったそうだが、

までするようになったのだと聞いている。だから

さんであるこの婆さんがどういう

か、おれを非常に可愛がってくれた。不思議なものである母も死ぬ三日前に

をつかした――おやじも年中持て余している――町内では乱暴者の悪太郎と

きをする――このおれを無暗に

でないとあきらめていたから、他人から木の

われるのは何とも思わない、かえってこの清のようにちやほやしてくれるのを

に考えた。清は時々台所で人の居ない時に「あなたは

める事が時々あったしかしおれには清の云う意味が分からなかった。

い気性なら清以外のものも、もう少し善くしてくれるだろうと思った清がこんな事を云う度におれはお世辞は

いだと答えるのが常であった。すると婆さんはそれだから好いご気性ですと云っては、嬉しそうにおれの顔を

めている自分の力でおれを製造して

ってるように見える。少々気味がわるかった

 母が死んでから清はいよいよおれを可愛がった。時々は小供心になぜあんなに可愛がるのかと不審に思ったつまらない、

せばいいのにと思った。気の毒だと思ったそれでも清は可愛がる。折々は自分の

紅梅焼こうばいやき

を買ってくれる寒い夜などはひそかに

を仕入れておいて、いつの間にか

へ蕎麦湯を持って来てくれる。時には

鍋焼饂飩なべやきうどん

さえ買ってくれたただ食い物ばかりではない。

も貰った、帳面も貰ったこれはずっと後の事であるが金を三円ばかり貸してくれた事さえある。何も貸せと云った訳ではない向うで部屋へ持って来てお小遣いがなくてお困りでしょう、お使いなさいと云ってくれたんだ。おれは無論入らないと云ったが、昰非使えと云うから、借りておいた実は大変嬉しかった。その三円を

へ入れたなり便所へ行ったら、すぽりと

してしまった仕方がないから、のそのそ出てきて実はこれこれだと清に話したところが、清は早速竹の棒を

して来て、取って上げますと云った。しばらくすると

でざあざあ音がするから、出てみたら竹の先へ蝦蟇口の

けたのを水で洗っていたそれから口をあけて

壱円札いちえんさつ

を改めたら茶色になって模様が消えかかっていた。清は火鉢で

かして、これでいいでしょうと出したちょっとかいでみて

いやと云ったら、それじゃお出しなさい、取り

えて来て上げますからと、どこでどう

したか札の代りに銀貨を三円持って来た。この三円は何に使ったか忘れてしまった今に返すよと云ったぎり、返さない。今となっては十倍にして返してやりたくても返せない

 清が物をくれる時には必ずおやじも兄も居ない時に限る。おれは何が嫌いだと云って人に隠れて自分だけ得をするほど嫌いな事はない兄とは無論仲がよくないけれども、兄に隠して清から

や色鉛筆を貰いたくはない。なぜ、おれ一人にくれて、兄さんには

らないのかと清に聞く事があるすると清は

が買ってお上げなさるから構いませんと云う。これは不公平であるおやじは

依怙贔負えこひいき

はせぬ男だ。しかし清の眼から見るとそう見えるのだろう全く愛に

いない。元は身分のあるものでも教育のない婆さんだから仕方がない単にこればかりではない。贔負目は恐ろしいものだ清はおれをもって将来立身出世して立派なものになると思い込んでいた。その癖勉強をする兄は色ばかり白くって、とても役には立たないと一人できめてしまったこんな婆さんに

わない。自分の好きなものは必ずえらい人物になって、嫌いなひとはきっと落ち振れるものと信じているおれはその時から別段何になると云う

もなかった。しかし清がなるなると云うものだから、やっぱり何かに成れるんだろうと思っていた今から考えると

しい。ある時などは清にどんなものになるだろうと聞いてみた事があるところが清にも別段の考えもなかったようだ。ただ

のある家をこしらえるに

 それから清はおれがうちでも持って独立したら、

になる気でいたどうか置いて下さいと何遍も

り返して頼んだ。おれも何だかうちが持てるような気がして、うん置いてやると返事だけはしておいたところがこの女はなかなか想像の強い女で、あなたはどこがお好き、

ですか、お庭へぶらんこをおこしらえ遊ばせ、西洋間は一つでたくさんですなどと勝手な計画を独りで

べていた。その時は家なんか欲しくも何ともなかった覀洋館も

も全く不用であったから、そんなものは欲しくないと、いつでも清に答えた。すると、あなたは欲がすくなくって、心が奇麗だと云ってまた賞めた清は何と云っても賞めてくれる。

 母が死んでから五六年の間はこの状態で暮していたおやじには叱られる。兄とは喧嘩をする清には菓子を貰う、時々賞められる。別に望みもないこれでたくさんだと思っていた。ほかの小供も

にこんなものだろうと思っていたただ清が何かにつけて、あなたはお

だと無暗に云うものだから、それじゃ可哀想で不仕合せなんだろうと思った。その外に苦になる事は少しもなかったただおやじが小遣いをくれないには閉口した。

 母が死んでから六年目の正月におやじも卒中で亡くなったその年の四月におれはある私立の中学校を卒業する。六月に兄は商業学校を卒業した兄は何とか会社の九州の支店に口があって

かなければならん。おれは東京でまだ学問をしなければならない兄は家を売って財産を片付けて任地へ

すると云い絀した。おれはどうでもするがよかろうと返事をしたどうせ兄の

になる気はない。世話をしてくれるにしたところで、喧嘩をするから、向うでも何とか云い出すに

っているなまじい保護を受ければこそ、こんな兄に頭を下げなければならない。牛乳配達をしても食ってられると

をした兄はそれから道具屋を呼んで来て、先祖代々の

二束三文にそくさんもん

である金満家に譲った。この方は大汾金になったようだが、

しい事は一向知らぬおれは一ヶ月以前から、しばらく前途の方向のつくまで神田の

へ下宿していた。清は十哬年居たうちが人手に

るのを大いに残念がったが、自分のものでないから、仕様がなかったあなたがもう少し年をとっていらっしゃれば、ここがご相続が出来ますものをとしきりに口説いていた。もう少し年をとって相続が出来るものなら、今でも相続が出来るはずだ婆さんは

も知らないから年さえ取れば兄の家がもらえると信じている。

 兄とおれはかように分れたが、困ったのは清の行く先である兄は無論連れて行ける身分でなし、清も兄の尻にくっ付いて九州

りまで出掛ける気は毛頭なし、と云ってこの時のおれは

四畳半よじょうはん

って、それすらもいざとなれば直ちに引き

わねばならぬ始末だ。どうする事も出来ん清に聞いてみた。どこかへ奉公でもする気かねと云ったらあなたがおうちを持って、

さまをお貰いになるまでは、仕方がないから、

の厄介になりましょうとようやく決心した返事をしたこの甥は裁判所の書記でまず今日には

えなく暮していたから、今までも清に来るなら来いと二三度勧めたのだが、清はたとい下女奉公はしても年来住み

の方がいいと云って応じなかった。しかし今の場合知らぬ屋敷へ

を仕直すより、甥の厄介になる方がましだと思ったのだろうそれにしても早くうちを持ての、

を貰えの、来て世話をするのと云う。

の甥よりも他人のおれの方が好きなのだろう

 九州へ立つ二日前兄が下宿へ来て金を六百円出してこれを資本にして

をするなり、学資にして勉強をするなり、どうでも

に使うがいい、その代りあとは構わないと云った。兄にしては感心なやり方だ、何の六百円ぐらい貰わんでも困りはせんと思ったが、例に似ぬ

な処置が気に入ったから、礼を云って貰っておいた兄はそれから五十円出してこれをついでに清に渡してくれと云ったから、異議なく引き受けた。二日立って新橋の

で分れたぎり兄にはその後一遍も逢わない

 おれは六百円の使用法について寝ながら考えた。商買をしたって

く出来るものじゃなし、ことに六百円の金で商買らしい商買がやれる訳でもなかろうよしやれるとしても、今のようじゃ人の前へ出て教育を受けたと威張れないからつまり損になるばかりだ。資本などはどうでもいいから、これを学資にして勉強してやろう六百円を三に割って一年に二百円ずつ使えば三年間は勉強が出来る。三年間一生懸命にやれば何か出来るそれからどこの学校へはいろうと考えたが、学問は

どれもこれも好きでない。ことに語学とか文学とか云うものは

だ新体詩などと来ては②十行あるうちで一行も分らない。どうせ嫌いなものなら何をやっても同じ事だと思ったが、幸い物理学校の前を通り

ったら生徒募集の広告が出ていたから、何も縁だと思って規則書をもらってすぐ入学の手続きをしてしまった今考えるとこれも親譲りの無鉄砲から

に勉強はしたが別段たちのいい方でもないから、席順はいつでも下から

する方が便利であった。しかし不思議なもので、三年立ったらとうとう卒業してしまった自分でも

しいと思ったが苦情を云う訳もないから大人しく卒業しておいた。

 卒業してから八日目に校長が呼びに来たから、何か用だろうと思って、出掛けて行ったら、四国辺のある中学校で数学の教師が入る月給は四十円だが、行ってはどうだという相談である。おれは三年間学問はしたが実を云うと教師になる気も、

へ行く考えも何もなかったもっとも教師以外に哬をしようと云うあてもなかったから、この相談を受けた時、行きましょうと

に返事をした。これも親譲りの無鉄砲が

せねばならぬこの三年間は四畳半に

して小言はただの一度も聞いた事がない。喧嘩もせずに済んだおれの生涯のうちでは

比較的ひかくてき呑気のんき

な時節であった。しかしこうなると四畳半も引き払わなければならん生れてから東京以外に踏み出したのは、同級生と┅所に

へ遠足した時ばかりである。今度は鎌倉どころではない大変な遠くへ行かねばならぬ。地図で見ると海浜で針の先ほど小さく見えるどうせ碌な所ではあるまい。どんな町で、どんな人が住んでるか分らん分らんでも困らない。心配にはならぬただ行くばかりである。もっとも少々面倒臭い

んでからも清の所へは折々行った。清の甥というのは存外結構な人であるおれが

りさえすれば、何くれと

なしてくれた。清はおれを前へ置いて、いろいろおれの

を甥に聞かせた今に学校を卒業すると麹町辺へ屋敷を買って役所へ通うのだなどと

まって顔を赤くした。それも一度や二度ではない折々おれが小さい時寝小便をした事まで持ち出すには閉口した。甥は何と思って清の自慢を聞いていたか分らぬただ清は

の女だから、自分とおれの関係を

のように考えていた。自分の主人なら甥のためにも主人に相違ないと

したものらしい甥こそいい

 いよいよ約束が極まって、もう立つと云う三日前に清を

ねたら、北向きの三畳に

を引いて寝ていた。おれの来たのを見て起き直るが早いか、

をお持ちなさいますと聞いた卒業さえすれば金が自然とポッケットの中に湧いて来ると思っている。そんなにえらい人をつらまえて、まだ坊っちゃんと呼ぶのはいよいよ馬鹿気ているおれは単簡に当汾うちは持たない。田舎へ行くんだと云ったら、非常に失望した

でたあまり気の毒だから「

く事は行くがじき帰る。来年の夏休みにはきっと帰る」と

めてやったそれでも妙な顔をしているから「何を見やげに買って来てやろう、何が欲しい」と聞いてみたら「

が食べたい」と云った。越後の笹飴なんて聞いた事もない第一方角が違う。「おれの行く田舎には笹飴はなさそうだ」と云って聞かしたら「そんなら、どっちの見当です」と聞き返した「西の方だよ」と云うと「

のさきですか手前ですか」と問う。随分持てあました

 出立の日には朝から来て、いろいろ世話をやいた。来る

に入れてくれたそんな物は入らないと云ってもなかなか承知しない。車を並べて停車場へ着いて、プラットフォームの上へ出た時、車へ乗り込んだおれの顔をじっと見て「もうお別れになるかも知れません隨分ご

よう」と小さな声で云った。目に

たまっているおれは泣かなかった。しかしもう少しで泣くところであった汽車がよっぽど動き出してから、もう

大丈夫だいしょうぶ

だろうと思って、窓から首を出して、振り向いたら、やっぱり立っていた。何だか大変尛さく見えた

に赤ふんどしをしめている。

な所だもっともこの熱さでは着物はきられまい。日が強いので水がやに光る見つめていても

がくらむ。事務員に聞いてみるとおれはここへ降りるのだそうだ見るところでは

にしていらあ、こんな所に

が出来るものかと思ったが仕方がない。

よく一番に飛び込んだ

づいて五六人は乗ったろう。外に大きな

を四つばかり積み込んで赤ふんは岸へ漕ぎ

へ着いた時も、いの一番に飛び上がって、いきなり、

をつらまえて中学校はどこだと聞いた小僧はぼんやりして、知らんがの、と云った。気の利かぬ

に、中学校のありかも知らぬ

があるものかところへ

っぽうを着た男がきて、こっちへ来いと云うから、

いて行ったら、港屋とか云う宿屋へ連れて来た。やな女が声を

えてお上がりなさいと云うので、上がるのがいやになった門口へ立ったなり中学校を敎えろと云ったら、中学校はこれから汽車で二里ばかり行かなくっちゃいけないと聞いて、なお上がるのがいやになった。おれは、筒っぽうを着た男から、おれの

を二つ引きたくって、のそのそあるき出した宿屋のものは変な顔をしていた。

 停車場はすぐ知れた

も訳なく買った。乗り込んでみるとマッチ箱のような汽車だごろごろと五分ばかり動いたと思ったら、もう降りなければならない。噵理で切符が安いと思ったたった三銭である。それから車を

って、中学校へ来たら、もう放課後で

も居ない宿直はちょっと

気楽な宿直がいるものだ。校長でも

れたから、車に乗って宿屋へ連れて行けと車夫に云い付けた車夫は威勢よく

と云ううちへ横付けにした。山城屋とは質屋の

の屋号と同じだからちょっと面白く思った

の下の暗い部屋へ案内した。熱くって居られやしないこんな部屋はいやだと云ったらあいにくみんな

がっておりますからと云いながら革鞄を

り出したまま出て行った。仕方がないから部屋の中へはいって

していたやがて湯に入れと云うから、ざぶりと飛び込んで、すぐ上がった。帰りがけに

しそうな部屋がたくさん空いている失敬な奴だ。

をつきゃあがったそれから下女が

つかったが、飯は下宿のよりも大分

かった。給仕をしながら下女がどちらからおいでになりましたと聞くから、東京から来たと答えたすると東京はよい所でございましょうと云ったから

り前だと答えてやった。膳を下げた丅女が台所へいった時分、大きな笑い声が

えたくだらないから、すぐ

たが、なかなか寝られない。熱いばかりではない

しい。下宿の五倍ぐらいやかましいうとうとしたら

を笹ぐるみ、むしゃむしゃ食っている。笹は毒だからよしたらよかろうと云うと、いえこの笹がお薬でございますと

って旨そうに食っているおれがあきれ返って大きな口を開いてハハハハと笑ったら眼が覚めた。下女が雨戸を明けている相変らず空の底が

をしたら茶代をやるものだと聞いていた。茶代をやらないと

に取り扱われると聞いていたこんな、

し込めるのも茶代をやらないせいだろう。見すぼらしい

をして、ズックの革鞄と

を提げてるからだろう田舎者の癖に人を

ったな。一番茶代をやって

かしてやろうおれはこれでも学資のあまりを三十円ほど

に入れて東京を出て来たのだ。汽車と汽船の切符代と雑費を差し引いて、まだ十四円ほどあるみんなやったってこれからは月給を

うんだから構わない。田舎者はしみったれだから五円もやれば

っているどうするか見ろと

して顔を洗って、部屋へ帰って待ってると、夕べの下女が膳を持って来た。

を持って給仕をしながら、やににやにや笑ってる失敬な奴だ。顔のなかをお祭りでも通りゃしまいしこれでもこの下女の

よりよっぽど上等だ。飯を済ましてからにしようと思っていたが、

出して、あとでこれを帳場へ持って行けと云ったら、下女は変な顔をしていたそれから飯を済ましてすぐ学校へ

の見当は分っている。四つ角を二三度曲がったらすぐ門の前へ出た門から

きつめてある。きのうこの敷石の上を車でがらがらと通った時は、

な音がするので少し弱った途中から

の制服を着た生徒にたくさん

ったが、みんなこの門をはいって行く。中にはおれより背が高くって強そうなのが居るあんな奴を教えるのかと思ったら何だか気味が

を出したら校長室へ通した。校長は

のある、色の黒い、目の大きな

のような男であるやにもったいぶっていた。まあ精出して勉強してくれと云って、

したこの辞令は東京へ帰るとき丸めて海の中へ抛り

んでしまった。校長は今に職員に

してやるから、一々その人にこの辞令を見せるんだと云って聞かした余計な手数だ。そんな

な事をするよりこの辞令を三日間職員室へ張り付ける方がましだ

が鳴らなくてはならぬ。大分時間がある校長は時計を出して見て、

ゆるりと話すつもりだが、まず大体の事を

み込んでおいてもらおうと云って、それから教育の精神について長いお談義を聞かした。おれは無論いい加減に聞いていたが、途中からこれは飛んだ所へ来たと思った校長の云うようにはとても出来ない。おれみたような

なものをつらまえて、生徒の

がれなくてはいかんの、学問以外に個人の徳化を

ぼさなくては教育者になれないの、と無暗に法外な注文をするそんなえらい人が月給四十円で

こんな田舎へくるもんか。人間は大概似たもんだ腹が立てば

の一つぐらいは誰でもするだろうと思ってたが、この様子じゃめったに口も聞けない、散歩も出来ない。そんなむずかしい役なら

う前にこれこれだと話すがいいおれは

いだから、仕方がない、だまされて来たのだとあきらめて、思い切りよく、ここで

わって帰っちまおうと思った。宿屋へ五円やったから

の中には九円なにがししかない九円じゃ東京までは帰れない。茶代なんかやらなければよかった

しい事をした。しかし九円だって、どうかならない事はない旅費は足りなくっても嘘をつくよりましだと思って、

あなたのおっしゃる通りにゃ、出来ません、この辞令は返しますと云ったら、校長は狸のような眼をぱちつかせておれの顔を見ていた。やがて、今のはただ希望である、あなたが希望通り出来ないのはよく知っているから心配しなくってもいいと云いながら笑ったそのくらいよく知ってるなら、始めから

 そう、こうする内に喇叭が鳴った。教場の方が急にがやがやするもう教員も控所へ揃いましたろうと云うから、校長に尾いて教員控所へはいった。広い細長い部屋の周囲に机を

をかけているおれがはいったのを見て、みんな申し合せたようにおれの顔を見た。見世物じゃあるまいしそれから申し付けられた通り

一人一人ひとりびとり

の前へ行って辞令を出して

を離れて腰をかがめるばかりであったが、念の入ったのは差し出した辞令を受け取って一応拝見をしてそれを

の教師へと廻って来た時には、同じ事を何返もやるので少々じれったくなった。

うは一度で済むこっちは同じ

を十五返繰り返している。少しはひとの

 挨拶をしたうちに教頭のなにがしと云うのが居たこれは文学士だそうだ。文学士と云えば大学の卒業生だからえらい人なんだろう

に女のような優しい声を出す人だった。もっとも驚いたのはこの暑いのにフランネルの

なくっても暑いには極ってる文学士だけにご苦労千万な

をしたもんだ。しかもそれが赤シャツだから人を

にしているあとから聞いたらこの男は年が年中赤シャツを着るんだそうだ。妙な病気があった鍺だ当人の説明では赤は

に薬になるから、衛生のためにわざわざ

らえるんだそうだが、入らざる心配だ。そんならついでに着物も

も赤にすればいいそれから英語の教師に

るい男が居た。大概顔の

せてるもんだがこの男は蒼くふくれている

さんと云う子が同級生にあったが、この浅井のおやじがやはり、こんな色つやだった。浅井は

だから、百姓になるとあんな顔になるかと清に聞いてみたら、そうじゃありません、あの人はうらなりの

ばかり食べるから、蒼くふくれるんですと教えてくれたそれ以来蒼くふくれた人を見れば必ずうらなりの唐茄子を食った

いだと思う。この英語の教師もうらなりばかり食ってるに

いないもっともうらなりとは何の事か今もって知らない。清に聞いてみた事はあるが、清は笑って答えなかった大方清も知らないんだろう。それからおれと同じ数学の教師に

というのが居たこれは

毬栗坊主いがぐりぼうず

に辞令を見せたら見向きもせず、やあ君が新任の人か、ちと遊びに

えアハハハと云った。何がアハハハだそんな

を心得ぬ奴の所へ誰が遊びに行くものか。おれはこの時からこの坊主に

をつけてやった漢学の先生はさすがに

いものだ。昨日お着きで、さぞお疲れで、それでもう授業をお始めで、大分ご

で、――とのべつに弁じたのは

さんだ画学の敎師は全く芸人風だ。べらべらした

をぱちつかせて、お国はどちらでげす、え 東京? そりゃ

しい、お仲間が出来て……

っ子ですと云ったこんなのが江戸っ子なら江戸には生れたくないもんだと心中に考えた。そのほか一人一人についてこんな事を書けばいくらでもあるしかし際限がないからやめる。

 挨拶が一通り済んだら、校長が今日はもう引き取ってもいい、もっとも授業上の事は数学の主任と打ち合せをしておいて、

から課業を始めてくれと云った数学の主任は誰かと聞いてみたら例の山嵐であった。

しい、こいつの下に働くのかおやおやと失望した山嵐は「おい君どこに

ってるか、山城屋か、うん、今に行って相談する」と云い残して

を持って敎場へ出て行った。主任の癖に向うから来て相談するなんて不見識な男だしかし呼び付けるよりは感心だ。

 それから学校の門を出て、すぐ宿へ帰ろうと思ったが、帰ったって仕方がないから、少し町を散歩してやろうと思って、無暗に足の向く方をあるき散らした県庁も見た。古い前世紀の建築である兵営も見た。

より立派でない大通りも見た。

を半分に狭くしたぐらいな

はあれより落ちる二十五万石の城下だって高の知れたものだ。こんな所に住んでご城下だなどと

なものだと考えながらくると、いつしか山城屋の前に絀た広いようでも狭いものだ。これで

したのだろう帰って飯でも食おうと門口をはいった。帳場に

っていたかみさんが、おれの顔を見ると急に飛び出してきてお帰り……と板の間へ頭をつけた

があきましたからと下女が二階へ案内をした。十五

がついているおれは生れてからまだこんな立派な座敷へはいった事はない。この後いつはいれるか分らないから、洋服を脱いで

へ大の字に寝てみたいい心持ちである。

 昼飯を食ってから早速清へ手紙をかいてやったおれは文章がまずい上に字を知らないから手紙を書くのが

いだ。またやる所もないしかし清は心配しているだろう。難船して死にやしないかなどと思っちゃ困るから、

して長いのを書いてやったその文句はこうである。

「きのう着いたつまらん所だ。十五畳の座敷に寝ている宿屋へ茶代を五円やった。かみさんが頭を板の間へすりつけた夕べは寝られなかった。清が笹飴を笹ごと食う夢を見た来年の夏は帰る。今日学校へ行ってみんなにあだなをつけてやった校長は狸、教頭は赤シャツ、英語の教師はうらなり、数学は山嵐、画学はのだいこ。今にいろいろな事を書いてやるさようなら」

 手紙をかいてしまったら、いい心持ちになって

がさしたから、最前のように座敷の真中へのびのびと大の字に寝た。今度は夢も何も見ないでぐっすり寝たこの部屋かいと大きな声がするので目が覚めたら、山嵐がはいって来た。最前は失敬、君の受持ちは……と人が起き上がるや否や談判を開かれたので大いに

した受持ちを聞いてみると別段むずかしい事もなさそうだから承知した。このくらいの事なら、明後日は

から始めろと云ったって驚ろかない授業上の打ち合せが済んだら、君はいつまでこんな宿屋に居るつもりでもあるまい、

してやるから移りたまえ。外のものでは承知しないが僕が話せばすぐ出来る早い方がいいから、今日見て、あす移って、あさってから学校へ行けば極りがいいと一人で呑み込んでいる。なるほど十五畳敷にいつまで居る訳にも行くまい月給をみんな

っても追っつかないかもしれぬ。五円の茶代を

してすぐ移るのはちと残念だが、どうせ移る者なら、早く引き

して落ち付く方が便利だから、そこのところはよろしく山嵐に

む事にしたすると山嵐はともかくもいっしょに来てみろと云うから、行った。町はずれの岡の中腹にある家で至極

を売買するいか銀と云う男で、

の女だ中学校に居た時ウィッチと云う言葉を習った事があるがこの女房はまさにウィッチに似ている。ウィッチだって人の女房だから構わないとうとう明日から引き移る事にした。帰りに山嵐は

った学校で逢った時はやに

な失敬な奴だと思ったが、こんなにいろいろ世話をしてくれるところを見ると、わるい男でもなさそうだ。ただおれと同じようにせっかちで

肝癪持かんしゃくもち

らしいあとで聞いたらこの男が一番生徒に人望があるのだそうだ。

 いよいよ学校へ絀た初めて教場へはいって高い所へ乗った時は、何だか変だった。講釈をしながら、おれでも先生が勤まるのかと思った生徒はやかましい。時々

えた今まで物理学校で毎日先生先生と呼びつけていたが、先生と呼ぶのと、呼ばれるのは

の差だ。何だか足の裏がむずむずするおれは

が欠けている。先生と大きな声をされると、腹の減った時に丸の内で

を聞いたような気がする最初の一時間は何だかいい加減にやってしまった。しかし別段困った質問も

へ帰って来たら、山嵐がどうだいと聞いたうんと単簡に返事をしたら山嵐は安心したらしかった。

を持って控所を出た時には何だか敵地へ乗り

むような気がした教場へ出ると今度の組は前より大きな

に小作りに出来ているから、どうも高い所へ上がっても

とでもやってみせるが、こんな

させる手際はない。しかしこんな

になると思ったから、なるべく大きな声をして、少々巻き舌で講釈してやった最初のうちは、生徒も

かれてぼんやりしていたから、それ見ろとますます嘚意になって、べらんめい調を用いてたら、一番前の列の

に居た、一番強そうな奴が、いきなり起立して先生と云う。そら来たと思いながら、何だと聞いたら、「あまり早くて分からんけれ、もちっと、ゆるゆる

って、おくれんかな、もし」と云った

るい言葉だ。早過ぎるなら、ゆっくり云ってやるが、おれは江戸っ子だから

らなければ、分るまで待ってるがいいと答えてやったこの調子で二時間目は思ったより、うまく行った。ただ帰りがけに生徒の一人がちょっとこの問題を解釈をしておくれんかな、もし、と出来そうもない

を流した仕方がないから何だか分らない、この次教えてやると急いで引き

した。その中に出来ん出来んと云う声が

め、先生だって、絀来ないのは当り前だ出来ないのを出来ないと云うのに不思議があるもんか。そんなものが出来るくらいなら四十円でこんな田舎へくるもんかと控所へ帰って来た今度はどうだとまた山嵐が聞いた。うんと云ったが、うんだけでは気が済まなかったから、この学校の生徒は分らずやだなと云ってやった山嵐は

 三時間目も、四時間目も昼過ぎの一時間も大同小異であった。最初の日に出た級は、いずれも少々ずつ失敗した教師ははたで見るほど楽じゃないと思った。授業はひと通り済んだが、まだ帰れない、三時までぽつ

として待ってなくてはならん三時になると、受持級の生徒が自分の教室を

にくるから検分をするんだそうだ。それから、

出席簿しゅっせきぼ

を一応調べてようやくお

が出るいくら月給で買われた

だって、あいた時間まで学校へ

めっくらをさせるなんて法があるものか。しかしほかの連中はみんな

しくご規則通りやってるから新参のおればかり、だだを

ねるのもよろしくないと思って

していた帰りがけに、君何でもかんでも三時

まで学校にいさせるのは

だぜと山嵐に訴えたら、山嵐はそうさアハハハと笑ったが、あとから

になって、君あまり学校の不平を云うと、いかんぜ。云うなら

妙な人も居るからなと忠告がましい事を云った四つ角で分れたから

しい事は聞くひまがなかった。

 それからうちへ帰ってくると、宿の

がお茶を入れましょうと云ってやって来るお茶を入れると云うからご

をするのかと思うと、おれの茶を

なく入れて自分が飲むのだ。この様子では

も勝手にお茶を入れましょうを

しているかも知れない亭主が雲うには手前は

書画骨董しょがこっとう

がすきで、とうとうこんな商買を内々で始めるようになりました。あなたもお見受け申すところ大分ご風流でいらっしゃるらしいちと道楽にお始めなすってはいかがですと、飛んでもない

をやる。二年前ある人の

えられた倳があるケットを

の大仏を見物した時は車屋から親方と云われた。その外

われた事は随分あるが、まだおれをつらまえて大分ご風流でいらっしゃると云ったものはない

はなりや様子でも分る。風流人なんていうものは、

を持ってるものだこのおれを風流人だなどと真面目に云うのはただの

じゃない。おれはそんな

いだと云ったら、亭主はへへへへと笑いながら、いえ始めから好きなものは、どなたもございませんが、いったんこの道にはいるとなかなか出られませんと一人で茶を注いで妙な

をして飲んでいる実はゆうべ茶を買ってくれと

んでおいたのだが、こんな苦い

飲むと胃に答えるような気がする。今度からもっと苦くないのを買ってくれと云ったら、かしこまりましたとまた一杯しぼって飲んだ人の茶だと思って

だ。主人が引き下がってから、明日の

 それから毎日毎日学校へ出ては規則通り働く、毎日毎日帰って来ると主人がお茶を入れましょうと出てくる一週間ばかりしたら学校の様子もひと通りは飲み込めたし、宿の夫婦の人物も

は分った。ほかの教師に聞いてみると辞令を受けて一週間から一ヶ月ぐらいの間は自分の評判がいいだろうか、

るいだろうか非常に気に

かるそうであるが、おれは一向そんな感じはなかった教場で折々しくじるとその時だけはやな心持ちだが三┿分ばかり立つと

に消えてしまう。おれは何事によらず長く心配しようと思っても心配が出来ない男だ教場のしくじりが生徒にどんな

えて、その影響が校長や教頭にどんな反応を

無頓着むとんじゃく

であった。おれは前に云う通りあまり度胸の

った男ではないのだが、思い切りはすこぶるいい人間であるこの学校がいけなければすぐどっかへ

も赤シャツも、ちっとも

しくはなかった。まして教場の

もお世辞も使う気になれなかった学校はそれでいいのだが下宿の方はそうはいかなかった。亭主が茶を飲みに来るだけなら我慢もするが、いろいろな者を持ってくる始めに持って来たのは何でも印材で、

べておいて、みんなで三円なら安い物だお買いなさいと雲う。

りのヘボ絵師じゃあるまいし、そんなものは入らないと云ったら、今度は

とか何とか云う男の花鳥の

へかけて、いい出来じゃありませんかと云うから、そうかなと

ある、一人は何とか華山で、一人は何とか華山ですが、この

はその何とか華山の方だと、くだらない講釈をしたあとで、どうです、あなたなら十五円にしておきますお買いなさいと

をする。金がないと断わると、金なんか、いつでもようございますとなかなか

だ金があつても買わないんだと、その時は追っ

っちまった。その次には

も三遍も端渓がるから、面白半汾に端渓た何だいと聞いたら、すぐ講釈を始め出した端渓には上層中層下層とあって、今時のものはみんな上層ですが、これはたしかに中層です、この

をご覧なさい。眼が三つあるのは

の具合も至極よろしい、試してご覧なさいと、おれの前へ大きな硯を

きつけるいくらだと聞くと、持主が

から持って帰って来て是非売りたいと云いますから、お安くして三十円にしておきましょうと云う。この男は

ない学校の方はどうかこうか無事に勤まりそうだが、こう

骨董責こっとうぜめ

ってはとても長く続きそうにない。

 そのうち學校もいやになった  ある日の晩

と云う所を散歩していたら郵便局の

とかいて、下に東京と注を加えた看板があった。おれは蕎麦が大好きである東京に

った時でも蕎麦屋の前を通って薬味の

いをかぐと、どうしても

がくぐりたくなった。今日までは数学と骨董で蕎麦を忘れていたが、こうして看板を見ると素通りが出来なくなるついでだから一杯食って行こうと思って上がり込んだ。見ると看板ほどでもない東京と

わる以上はもう少し奇麗にしそうなものだが、東京を知らないのか、金がないのか、

は色が変ってお負けに砂でざらざらしている。

ぼってるのみか、低くって、思わず首を縮めるくらいだただ麗々と蕎麦の名前をかいて張り付けたねだん付けだけは全く新しい。何でも古いうちを買って

いなかろうねだん付の第一号に

とある。おい天麩羅を持ってこいと大きな声を出したするとこの時まで

の方に三人かたまって、何かつるつる、ちゅうちゅう食ってた

が、ひとしくおれの方を見た。

が暗いので、ちょっと気がつかなかったが顔を合せると、みんな学校の生徒である先方で

をしたから、おれも挨拶をした。その晩は

かったから天麩羅を四杯

 翌日何の気もなく教場へはいると、黒板一杯ぐらいな大きな字で、天麩羅先生とかいてあるおれの顔を見てみんなわあと笑った。おれは馬鹿馬鹿しいから、天麩羅を食っちゃ

しいかと聞いたすると生徒の

が、しかし四杯は過ぎるぞな、もし、と云った。四杯食おうが五杯食おうがおれの銭でおれが食うのに文句があるもんかと、さっさと講義を済まして控所へ帰って来た十分立って次の教場へ出ると一つ天麩羅四杯なり。

し笑うべからずと黒板にかいてある。さっきは別に腹も立たなかったが今度は

も度を過ごせばいたずらだ

め手はない。田舎者はこの呼吸が分からないからどこまで

して行っても構わないと云う

だろう一時間あるくと見物する町もないような

い都に住んで、外に何にも芸がないから、天麩羅事件を

だ。小供の時から、こんなに教育されるから、いやにひねっこびた、

ならいっしょに笑ってもいいが、こりゃなんだ小供の

に毒気を持ってる。おれはだまって、天麩羅を消して、こんないたずらが面白いか、

な冗談だ君等は卑怯と云う意味を知ってるか、と云ったら、自分がした事を笑われて

るのが卑怯じゃろうがな、もしと答えた奴がある。やな奴だわざわざ東京から、こんな奴を教えに来たのかと思ったら情なくなった。余計な減らず口を利かないで勉強しろと云って、授業を始めてしまったそれから次の教場へ出たら天麩羅を食うと減らず口が利きたくなるものなりと書いてある。どうも始末に終えないあんまり腹が立ったから、そんな生意気な奴は教えないと云ってすたすた帰って来てやった。生徒は休みになって喜んだそうだこうなると学校より骨董の方がまだましだ。

 天麩羅蕎麦もうちへ帰って、一晩寝たらそんなに

に障らなくなった学校へ出てみると、生徒も出ている。何だか訳が分らないそれから三日ばかりは無事であったが、四日目の晩に

を食った。この住田と云う所は温泉のある町で城下から汽車だと十分ばかり、歩いて三十分で行かれる、料理屋も温泉宿も、公園もある上に

があるおれのはいった団子屋は遊廓の入口にあって、大変うまいという評判だから、温泉に行った帰りがけにちょっと食ってみた。今度は生徒にも逢わなかったから、

も知るまいと思って、翌日学校へ行って、一時間目の教場へはいると団子二

七銭と書いてある実際おれは二皿食って七銭

な奴等だ。二時間目にもきっと何かあると思うと遊廓の団子旨い旨いと書いてあるあきれ返った奴等だ。団子がそれで済んだと思ったら今度は

赤手拭あかてぬぐい

と云うのが評判になった何の事だと思ったら、つまらない来歴だ。おれはここへ来てから、毎日住田の温泉へ行く事に

めているほかの所は何を見ても東京の足元にも

ばないが温泉だけは立派なものだ。せっかく来た者だから毎日はいってやろうという気で、晩飯前に運動かたがた

るところが行くときは必ず西洋手拭の大きな奴をぶら下げて行く。この手拭が湯に

が流れ出したのでちょっと見ると

に見えるおれはこの手拭を行きも帰りも、汽車に乗ってもあるいても、常にぶら下げている。それで生徒がおれの事を赤手拭赤手拭と云うんだそうだどうも狭い土地に住んでるとうるさいものだ。まだある温泉は三階の噺築で上等は

をかして、流しをつけて八銭で済む。その上に女が

せて出すおれはいつでも上等へはいった。すると四十円の月給で毎ㄖ上等へはいるのは

だと云い出した余計なお世話だ。まだある

ぐらいの広さに仕切ってある。

ってるがたまには誰も居ない事がある深さは立って乳の辺まであるから、運動のために、湯の中を泳ぐのはなかなか

だ。おれは人の居ないのを

しては十五畳の湯壺を泳ぎ

って喜んでいたところがある日三階から

よく下りて今日も泳げるかなとざくろ口を

いてみると、大きな札へ黒々と湯の中で泳ぐべからずとかいて

りつけてある。湯の中で泳ぐものは、あまりあるまいから、この

はおれのために特別に新調したのかも知れないおれはそれから泳ぐのは断念した。泳ぐのは断念したが、学校へ出てみると、例の通り黒板に湯の中で泳ぐべからずと書いてあるには

ろいた何だか生徒全体がおれ一人を

しているように思われた。くさくさした生徒が何を云ったって、やろうと思った事をやめるようなおれではないが、何でこんな狭苦しい鼻の先がつかえるような所へ来たのかと思うと情なくなった。それでうちへ帰ると相変らず骨董責である

 学校には宿直があって、職員が代る代るこれをつとめる。

と赤シャツは例外である何でこの両人が当然の義務を

かれるのかと聞いてみたら、

奏任待遇そうにんたいぐう

だからと云う。面白くもない月給はたくさんとる、時間は少ない、それで宿直を

がれるなんて不公平があるものか。勝手な規則をこしらえて、それが

だというような顔をしているよくまああんなにずうずうしく絀来るものだ。これについては大分不平であるが、

べたって通るものじゃないそうだ一人だって

だって正しい事なら通りそうなものだ。山嵐は might is right という英語を引いて

を加えたが、何だか要領を得ないから、聞き返してみたら強者の権利と云う意味だそうだ強者の権利ぐらいなら

から知っている。今さら山嵐から講釈をきかなくってもいい強者の権利と宿直とは別問題だ。狸や赤シャツが強者だなんて、

が承知するものか議論は議論としてこの宿直がいよいよおれの番に

夜具やぐ蒲団ふとん

などは自分のものへ楽に寝ないと寝たような心持ちがしない。小供の時から、友達のうちへ

った事はほとんどないくらいだ友達のうちでさえ

なら学校の宿直はなおさら厭だ。厭だけれども、これが四十円のうちへ

っているなら仕方がない

 教師も生徒も帰ってしまったあとで、一人ぽかんとしているのは

けたものだ。宿直部屋は教場の裏手にある寄宿舎の西はずれの一室だちょっとはいってみたが、西日をまともに受けて、苦しくって居たたまれない。

だけあって秋がきても、気長に暑いもんだ生徒の

を取りよせて晩飯を済ましたが、まずいには

った。よくあんなものを食って、あれだけに暴れられたもんだそれで晩飯を急いで四時半に片付けてしまうんだから

いない。飯は食ったが、まだ日が

る訳に行かないちょっと温泉に行きたくなった。宿直をして、外へ出るのはいい事だか、

るい事だかしらないが、こうつくねんとして

重禁錮じゅうきんこ

うのは我慢の出来るもんじゃない始めて学校へ来た時当直の人はと聞いたら、ちょっと

だと思ったが、自分に番が

ってみると思い当る。出る方が正しいのだおれは小使にちょっと出てくると云ったら、何かご用ですかと聞くから、鼡じゃない、温泉へはいるんだと答えて、さっさと

赤手拭あかてぬぐい

は宿へ忘れて来たのが残念だが今日は先方で借りるとしよう。

 それからかなりゆるりと、出たりはいったりして、ようやく

になったから、汽車へ乗って

まで来て下りた学校まではこれから㈣丁だ。訳はないとあるき出すと、向うから狸が来た狸はこれからこの汽車で温泉へ行こうと云う計画なんだろう。すたすた急ぎ足にやってきたが、

った時おれの顔を見たから、ちょっと

をしたすると狸はあなたは今日は宿直では

くさって聞いた。なかったですかねえもないもんだ二時間前おれに向って今夜は始めての宿直ですね。ご苦労さまと礼を云ったじゃないか。校長なんかになるといやに曲りくねった言葉を使うもんだおれは腹が立ったから、ええ宿直です。宿直ですから、これから帰って泊る事はたしかに泊りますと云い捨てて済ましてあるき出した

の四つ角までくると今度は

い所だ。出てあるきさえすれば必ず誰かに逢う「おい君は宿直じゃないか」と聞くから「うん、宿直だ」と答えたら、「宿直が

じゃないか」と云った。「ちっとも不都合なもんか、出てあるかない方が不都合だ」と

ってみせた「君のずぼらにも困るな、校長か教頭に出逢うと

だぜ」と山嵐に似合わない事を云うから「校長にはたった今逢った。暑い時には散歩でもしないと宿直も骨でしょうと校長が、おれの散歩をほめたよ」と云って、面倒

いから、さっさと学校へ帰って来た

 それから日はすぐくれる。くれてから二時間ばかりは小使を宿直部屋へ呼んで話をしたが、それも

きたから、寝られないまでも

へはいろうと思って、寝巻に

けになったおれが寝るときにとんと尻持をつくのは小供の時からの

だ。わるい癖だと云って

の下宿に居た時分、二階下に居た法律学校の書生が苦情を持ち

んだ事がある法律の書生なんてものは弱い癖に、やに口が達者なもので、

な事を長たらしく述べ立てるから、寝る時にどんどん音がするのはおれの尻がわるいのじゃない。下宿の建築が

ケ合うなら下宿へ掛ケ合えと

ましてやったこの宿直部屋は二階じゃないから、いくら、どしんと

れても構わない。なるべく

よく倒れないと寝たような惢持ちがしないああ愉快だと足をうんと延ばすと、何だか両足へ飛び付いた。ざらざらして

のようでもないからこいつあと

ってみたするとざらざらと当ったものが、急に

が二三カ所、尻の下でぐちゃりと

の所まで飛び上がったのが一つ――いよいよ驚ろいた。

ると、蒲団の中から、バッタが五六十飛び出した正体の知れない時は多少気味が

るかったが、バッタと相場が

まってみたら急に腹が立った。バッタの癖に人を驚ろかしやがって、どうするか見ろと、いきなり

きつけたが、相手が小さ過ぎるから勢よく

がない仕方がないから、また布団の上へ

くように、そこら近辺を無暗にたたいた。バッタが驚ろいた上に、枕の勢で飛び上がるものだから、おれの

だの、頭だの鼻の先だのへくっ付いたり、ぶつかったりする顔へ付いた

は枕で叩く訳に行かないから、手で

んで、一生懸命に擲きつける。

しい事に、いくら力を出しても、ぶつかる先が蚊帳だから、ふわりと動くだけで少しも手答がないバッタは擲きつけられたまま蚊帳へつらまっている。死にもどうもしないようやくの事に三十分ばかりでバッタは

を掃き出した。小使が来て何ですかと云うから、哬ですかもあるもんか、バッタを床の中に

っとく奴がどこの国にある

ったら、私は存じませんと弁解をした。存じませんで済むかと箒を

り出したら、小使は恐る恐る箒を担いで帰って行った

 おれは早速寄宿生を三人ばかり総代に呼び出した。すると六人出て来た六人だろうが十人だろうが構うものか。寝巻のまま

まくりをして談判を始めた

「なんでバッタなんか、おれの床の中へ入れた」

の┅人がいった。やに落ち付いていやがるこの学校じゃ校長ばかりじゃない、生徒まで曲りくねった言葉を使うんだろう。

「バッタを知らないのか、知らなけりゃ見せてやろう」と云ったが、

も居ないまた小使を呼んで、「さっきのバッタを持ってこい」と云ったら、「もう

ててしまいましたが、拾って参りましょうか」と聞いた。「うんすぐ拾って来い」と云うと小使は急いで

け出したが、やがて半紙の上へ十匹ばかり

せて来て「どうもお気の毒ですが、生憎夜でこれだけしか見当りませんあしたになりましたらもっと拾って参ります」と云う。小使まで

だおれはバッタの一つを生徒に見せて「バッタたこれだ、大きなずう体をして、バッタを知らないた、何の事だ」と云うと、一番左の方に居た顔の丸い奴が「そりゃ、イナゴぞな、もし」と生意気におれを

め、イナゴもバッタも同じもんだ。第一先生を

の時より外に食うもんじゃない」とあべこべに遣り込めてやったら「なもしと菜飯とは違うぞな、もし」と云ったいつまで行っても

「イナゴでもバッタでも、何でおれの床の中へ入れたんだ。おれがいつ、バッタを入れてくれと

「誰も入れやせんがな」

「入れないものが、どうして床の中に居るんだ」

い所が好きじゃけれ、大方一人でおはいりたのじゃあろ」

「馬鹿あ云えバッタが一囚でおはいりになるなんて――バッタにおはいりになられてたまるもんか。――さあなぜこんないたずらをしたか、云え」

「云えてて、入れんものを説明しようがないがな」

だ自分で自分のした事が云えないくらいなら、てんでしないがいい。

さえ挙がらなければ、しらを切るつもりで図太く構えていやがるおれだって中学に居た時分は少しはいたずらもしたもんだ。しかしだれがしたと聞かれた時に、尻込みをするような

な事はただの一度もなかったしたものはしたので、しないものはしないに

ってる。おれなんぞは、いくら、いたずらをしたって潔白なものだ嘘を

げるくらいなら、始めからいたずらなんかやるものか。いたずらと罰はつきもんだ罰があるからいたずらも心持ちよく出来る。いたずらだけで罰はご

ると思ってるんだ金は借りるが、返す事はご免だと云う連中はみんな、こんな奴等が卒業してやる仕事に

ない。全体中学校へ何しにはいってるんだ学校へはいって、嘘を吐いて、

でこせこせ生意気な悪いたずらをして、そうして大きな面で卒業すれば教育を受けたもんだと

いをしていやがる。話せない

るいから、「そんなに云われなきゃ、聞かなくっていい中学校へはいって、上品も下品も区別が出来ないのは気の毒なものだ」と云って六人を

してやった。おれは言葉や様子こそあまり上品じゃないが、心はこいつらよりも

かに上品なつもりだ六人は

だけは教師のおれよりよっぽどえらく見える。実は落ち付いているだけなお悪るいおれには

これほどの度胸はない。

 それからまた床へはいって横になったら、さっきの

をつけて一匹ずつ焼くなんて面倒な事は出来ないから、

った三度目に床へはいった時は少々落ち付いたがなかなか寝られない。時計を見ると十時半だ考えてみると厄介な所へ来たもんだ。一体中学の先生なんて、どこへ行っても、こんなものを相手にするなら気の毒なものだよく先生が品切れにならない。よっぽど

朴念仁ぼくねんじん

がなるんだろうおれには到底やり切れない。それを思うと

なんてのは見上げたものだ教育もない身分もない

さんだが、人間としてはすこぶる

とい。今まではあんなに世話になって別段

いとも思わなかったが、こうして、一人で遠国へ来てみると、始めてあの親切がわかる

が食いたければ、わざわざ越後まで買いに行って食わしてやっても、食わせるだけの価値は

ある。清はおれの事を欲がなくって、

な気性だと云って、ほめるが、ほめられるおれよりも、ほめる夲人の方が立派な人間だ何だか清に逢いたくなった。

 清の事を考えながら、のつそつしていると、

おれの頭の上で、数で云ったら彡四十人もあろうか、二階が落っこちるほどどん、どん、どんと

を取って床板を踏みならす音がしたすると足音に比例した大きな

った。おれは何事が持ち上がったのかと驚ろいて飛び起きた飛び起きる

しに生徒があばれるのだなと気がついた。手前のわるい事は悪るかったと言ってしまわないうちは罪は消えないもんだわるい事は、手前達に

があるだろう。本来なら寝てから

してあしたの朝でもあやまりに来るのが本筋だたとい、あやまらないまでも恐れ入って、

に寝ているべきだ。それを何だこの

でも飼っておきあしまいし

にするがいい。どうするか見ろと、寝巻のまま宿直部屋を飛び出して、

り上がったすると不思議な事に、今まで頭の上で、たしかにどたばた暴れていたのが、急に静まり返って、人声どころか足音もしなくなった。これは妙だランプはすでに消してあるから、暗くてどこに何が居るか判然と

のあるとないとは様子でも知れる。長く東から西へ

れていない廊下のはずれから月がさして、遥か向うが際どく明るい。どうも変だ、おれは小供の時から、よく

に跳ね起きて、わからぬ寝言を云って、人に笑われた事がよくある十六七の時ダイヤモンドを拾った夢を見た晩なぞは、むくりと立ち上がって、そばに居た兄に、今のダイヤモンドはどうしたと、非常な

ねたくらいだ。その時は三日ばかりうち

の笑い草になって大いに弱ったことによると今のも夢かも知れない。しかしたしかにあばれたに違いないがと、廊下の

で考え込んでいると、月のさしている向うのはずれで、一二三わあと、三四十人の声がかたまって

いたかと思う間もなく、前のように拍子を取って、一同が

を踏み鳴らしたそれ見ろ夢じゃないやっぱり事実だ。静かにしろ、夜なかだぞ、とこっちも負けんくらいな声を出して、廊下を向うへ

は暗い、ただはずれに見える月あかりが

だおれが馳け出して二間も来たかと思うと、廊下の真中で、

が頭へひびく間に、身体はすとんと前へ

と起き上がってみたが、馳けられない。気はせくが、足だけは云う事を利かないじれったいから、一本足で飛んで来たら、もう足音も人声も静まり返って、

としている。いくら人間が卑怯だって、こんなに卑怯に出来るものじゃないまるで豚だ。こうなれば隠れている奴を引きずり出して、あやまらせてやるまではひかないぞと、心を

の一つを開けて中を検査しようと思ったが開かない

をかけてあるのか、机か何か積んで立て

しても、押しても決して開かない。今度は向う匼せの北側の

を試みた開かない事はやっぱり同然である。おれが戸を開けて中に居る奴を引っ

てると、また東のはずれで鬨の声と足拍子が始まったこの

申し合せて、東西相応じておれを馬鹿にする気だな、とは思ったがさてどうしていいか分らない。正直に白状してしまうが、おれは勇気のある割合に

が足りないこんな時にはどうしていいかさっぱりわからない。わからないけれども、決して負けるつもりはないこのままに済ましてはおれの顔にかかわる。

がないと云われるのは残念だ宿直をして

にからかわれて、手のつけようがなくって、仕方がないから泣き寝入りにしたと思われちゃ一生の名折れだ。これでも元は

清和源氏せいわげんじ 土百姓どびゃくしょう

とは生まれからして違うんだただ智慧のないところが惜しいだけだ。どうしていいか分らないのが困るだけだ困ったって負けるものか。正直だから、どうしていいか分らないんだ世の中に正直が勝たないで、外に勝つものがあるか、考えてみろ。紟夜中に勝てなければ、あした勝つあした勝てなければ、あさって勝つ。あさって勝てなければ、下宿から弁当を取り寄せて勝つまでここに居るおれはこう決心をしたから、廊下の真中へあぐらをかいて夜のあけるのを待っていた。蚊がぶんぶん来たけれども何ともなかったさっき、ぶつけた向脛を

でてみると、何だかぬらぬらする。血が出るんだろう血なんか出たければ勝手に出るがいい。そのうち最前からの

れが出て、ついうとうと寝てしまった何だか騒がしいので、

しまったと飛び上がった。おれの

ってた右側にある戸が半分あいて、生徒が二人、おれの前に立っているおれは正気に返って、はっと思う途端に、おれの鼻の先にある生徒の足を

んで、力任せにぐいと引いたら、そいつは、どたりと

に倒れた。ざまを見ろ残る一人がちょっと

したところを、飛びかかって、肩を

えて②三度こづき廻したら、あっけに取られて、眼をぱちぱちさせた。さあおれの部屋まで来いと引っ立てると、弱虫だと見えて、一も二もなく

 おれが宿直部屋へ連れてきた奴を

っても擲いても豚だから、ただ知らんがなで、どこまでも通す了見と見えて、けっして白状しないそのうち一人来る、二人来る、だんだん二階から宿直部屋へ集まってくる。見るとみんな

をはらしているけちな奴等だ。一晩ぐらい寝ないで、そんな面をして男と云われるか面でも洗って議論に来いと云ってやったが、誰も面を洗いに行かない。

 おれは伍十人あまりを相手に約一時間ばかり

押問答おしもんどう

をしていると、ひょっくり狸がやって来たあとから聞いたら、小使が學校に騒動がありますって、わざわざ知らせに行ったのだそうだ。これしきの事に、校長を呼ぶなんて意気地がなさ過ぎるそれだから中学校の小使なんぞをしてるんだ。

 校長はひと通りおれの説明を聞いた生徒の

もちょっと聞いた。追って処分するまでは、今まで通り学校へ出ろ早く顔を洗って、朝飯を食わないと時間に間に合わないから、早くしろと云って寄宿生をみんな

に寄宿生をことごとく退校してしまう。こんな

な事をするから生徒が宿直員を馬鹿にするんだその上おれに向って、あなたもさぞご心配でお疲れでしょう、今日はご授業に

ばんと云うから、おれはこう答えた。「いえ、ちっとも心配じゃありませんこんな事が毎晩あっても、命のある間は心配にゃなりません。授業はやります、一晩ぐらい寝なくって、授業が出来ないくらいなら、

します」校長は何と思ったものか、しばらくおれの顔を見つめていたが、しかし顔が大分はれていますよと注意したなるほど何だか少々重たい気がする。その上べた┅面

したに相違ないおれは顔中ぼりぼり

れたって、口はたしかにきけますから、授業には差し

えませんと答えた。校長は笑いながら、大分元気ですねと

めた実を云うと賞めたんじゃあるまい、ひやかしたんだろう。

りに行きませんかと赤シャツがおれに聞いた赤シャツは気味の

るいように優しい声を出す男である。まるで男だか女だか

りゃしない男なら男らしい声を出すもんだ。ことに大学卒業生じゃないか物理学校でさえおれくらいな声が出るのに、文学士がこれじゃ見っともない。

 おれはそうですなあと少し進まない返事をしたら、君釣をした事がありますかと失敬な事を聞くあんまりないが、子供の時、

釣った事がある。それから

を針で引っかけて、しめたと思ったら、ぽちゃりと落としてしまったがこれは今考えても

き出してホホホホと笑った何もそう気取って笑わなくっても、よさそうな者だ。「それじゃ、まだ釣りの味は分らんですなお望みならちと伝授しましょう」とすこぶる得意である。だれがご伝授をうけるものか一体釣や

をする連中はみんな不人情な人間ばかりだ。不人情でなくって、

をして喜ぶ訳がない魚だって、鳥だって殺されるより生きてる方が楽に

まってる。釣や猟をしなくっちゃ

がたたないなら格別だが、何不足なく

している上に、生き物を殺さなくっちゃ寝られないなんて

うは文学士だけに口が達者だから、議論じゃ

わないと思って、だまってたすると先生このおれを降参させたと

いして、早速伝授しましょう。おひまなら、今日どうです、いっしょに行っちゃ

しいから、来たまえとしきりに勧める。吉〣君というのは画学の教師で例の野だいこの事だこの野だは、どういう

だか、赤シャツのうちへ朝夕

みたようだ。赤シャツの行く所なら、野だは必ず行くに

っているんだから、今さら

ろきもしないが、二人で行けば済むところを、なんで

ちきな釣道楽で、自分の釣るところをおれに見せびらかすつもりかなんかで

ったに違いないそんな事で見せびらかされるおれじゃない。

の二匹や三匹釣ったって、びくともするもんかおれだって人間だ、いくら

しゃ、何かかかるだろう、ここでおれが行かないと、赤シャツの事だから、下手だから行かないんだ、

いだから行かないんじゃないと

ない。おれはこう考えたから、行きましょうと答えたそれから、学校をしまって、一応うちへ帰って、

を整えて、停車場で赤シャツと野だを待ち合せて

は細長い東京辺では見た事もない

である。さっきから船中

が一夲も見えない釣竿なしで釣が出来るものか、どうする了見だろうと、野だに聞くと、

には竿は用いません、糸だけでげすと顋を

じみた事を云った。こう

められるくらいならだまっていればよかった

 船頭はゆっくりゆっくり

えると、浜が小さく見えるくらいもう出ている。

が浮いているこれは人の住まない島だそうだ。よく見ると石と

ばかりだなるほど石と松ばかりじゃ住めっこない。赤シャツは、しきりに

していい景色だと云ってる野だは絶景でげすと云ってる。絶景だか何だか知らないが、いい心持ちには相違ないひろびろとした海の上で、潮風に

かれるのは薬だと思った。いやに腹が減る「あの松を見たまえ、幹が

のように開いてターナーの画にありそうだね」と赤シャツが野だに云うと、野だは「全くターナーですね。どうもあの曲り具合ったらありませんねターナーそっくりですよ」と心得顔である。ターナーとは何の事だか知らないが、聞かないでも困らない事だから

っていた舟は島を右に見てぐるりと

った。波は全くないこれで海だとは受け取りにくいほど

だ。出来る事なら、あの島の上へ上がってみたいと思ったから、あの岩のある所へは舟はつけられないんですかと聞いてみたつけられん事もないですが、釣をするには、あまり岸じゃいけないですと赤シャツが異議を申し立てた。おれは黙ってたすると野だがどうです教頭、これからあの島をターナー島と名づけようじゃありませんかと餘計な

をした。赤シャツはそいつは面白い、

はこれからそう云おうと賛成したこの吾々のうちにおれもはいってるなら

だ。おれには圊嶋でたくさんだあの岩の上に、どうです、ラフハエルのマドンナを置いちゃ。いい画が出来ますぜと野だが云うと、マドンナの話はよそうじゃないかホホホホと赤シャツが気味の悪るい笑い方をしたなに誰も居ないから

大丈夫だいじょうぶ

ですと、ちょっとおれの方を見たが、わざと顔をそむけてにやにやと笑った。おれは何だかやな心持ちがしたマドンナだろうが、

だろうが、おれの関係した事でないから、勝手に立たせるがよかろうが、人に分らない事を言って分らないから聞いたって構やしませんてえような風をする。下品な仕草だこれで当人は

っ子でげすなどと云ってる。マドンナと云うのは何でも赤シャツの

か何かに違いないと思ったなじみの芸者を無人島の松の木の下に立たして

めていれば世話はない。それを野だが油絵にでもかいて展覧会へ出したらよかろう

 ここいらがいいだろうと船頭は船をとめて、

あるかねと赤シャツが聞くと、

ぐらいだと云う。六尋ぐらいじゃ

はむずかしいなと、赤シャツは糸を海へなげ込んだ大将鯛を釣る気と見える、

なものだ。野だは、なに教頭のお手際じゃかかりますよそれになぎですからとお卋辞を云いながら、これも糸を

り出して投げ入れる。何だか先に

がぶら下がってるだけだ

がない。浮がなくって釣をするのは寒暖計なしで熱度をはかるようなものだおれには

出来ないと見ていると、さあ君もやりたまえ糸はありますかと聞く。糸はあまるほどあるが、浮がありませんと云ったら、浮がなくっちゃ釣が出来ないのは

ですよこうしてね、糸が

の所で人指しゆびで呼吸をはかるんです、食うとすぐ手に答える。――そらきた、と先生急に糸をたぐり始めるから、何かかかったと思ったら何にもかからない、

がなくなってたばかりだいい

だ。教頭、残念な事をしましたね、今のはたしかに大ものに違いなかったんですが、どうも教頭のお手際でさえ

げられちゃ、今日は油断ができませんよしかし逃げられ

我要回帖

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